| 4970.sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/03/02 01:10
ホスト/EZweb
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| | 鳥と言えば
二足歩行をし 前足が翼に進化し 恒温で卵生の脊椎動物のことだ
世界で約一万種弱が確認されており、ほとんど全ての地域・環境に対応した種が存在する
俺はこの生き物に誰よりも憧れた
空を飛べる
これも確かに羨ましいが、そんなことは誰もが抱くだろう。別に俺は人一倍飛びたい願望があるわけじゃない
実は、俺が欲しがるモノは大多数のヒトも持っている けれども俺にとっては、ソレを手に入れることはヒトが翼を手に入れることとほぼ同義だった …つまり、可能性はほぼゼロに近いということ
きっかけは小さい頃見た教育番組だった 親鳥が雛に餌を与えているごく普通の映像だったが、俺にはそれが凄く羨ましく見えた
憧れの対象となるものは、大旨自分に無いものを持っていることが多い
俺の場合は その親鳥と巣がそれだった.... |
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| 4971.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/03/02 02:32
ホスト/EZweb
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| | もうすぐ講義が終わる 俺は“午後の予定”を確認した
終業のベルが鳴り、教授が退室する
「今日も?」 あぁ、悪い
いつものように、友人の遊びを断った
「いやいいけどさ、でも、変な奴だよな」 「ホント変わってるって。クラスメートと大騒ぎするよりも地味ーなサークルの活動に従事するなんてさ」 野鳥観察部はいつでも君逹の入部を歓迎するよ 「「絶対ヤダ(笑)」」
そんなやりとりをして、友人逹と別れる
――正直な話、俺も野鳥観察などには興味がない 鳥は好きだが、俺の歪んだ思い入れはそういったものには無感動だ
野鳥観察部は、いわば隠れ蓑なのだ ここに身を置くことで、教室の友人逹の放課後の誘いを断る口実を作れる
俺は、どうしても誰にも知られたくないことがあるから |
| 4976.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/03/08 20:03
ホスト/EZweb
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| | 友人には部活と言ったが、実は今日は顔を出さない
毎週金曜、俺はこうして直帰する
人目を忍んで電車に乗り、馴れない道を歩くこと数分 俺は新しい“家”に“帰宅”した
鍵は先週の“家”と同じ、というより最初から一度も変わっていない
中に入ると、全フロアから新品の匂いがする……なんというか、全てがピカピカの匂いというか これが我が家の匂いだ、同じく昔から変わらない そして住人は俺だけ、これも昔から変わらない
これが俺の秘密
物心ついた時から両親はいなかった
俺は一つところに一週間と住んだことがない
先週は分譲住宅 先々週はマンション そして今週は人里離れた豪邸だ
昔は身の回りの世話をしてくれる人がいたが、それも高校進学と同時になくなった
現在は自炊はせず、夕飯は外食もしくはコンビニかスーパー。朝食もここで買う
週の初めに郵便ポストに住所を記された紙が入っている。そこに移るのは毎週金曜 親の署名などか必要な場合、所定の住所に送れば一日で返ってくる、もちろん所定の項目を埋めて
自分の生活の奇怪さに疑問を抱いたことは何度もある でももうそんなことすら気にならないほど、この生活に馴れてしまった
今は、こんな生活が変わるような出来事を心の底で微かに望んでいるだけだ |
| 4977.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/03/08 20:45
ホスト/EZweb
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| | 六月 成(むつき なる)には親と呼ぶべき者がいない
――しかし友人は多い 昼間の彼の周りに人が絶えたことはない
六月 成には家がない ――しかし彼はお金に困ったことはない
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
最近、講義を受けるのが馬鹿らしくなってきた 元々が働きたくないってだけの理由で入ったわけだし、何より既に一生暮らせる分のお金を持っているので、頑張って単位を取ることに対して必要性の是非を感じ始めていた
校内では常に誰かと行動を共にしている 交友関係とはきっかけさえあれば容易に築かれる。俺は能動的にきっかけを作り出し、結果複雑な交友網を構築した
複雑というのは、その繋がりである 例えばA〜Z、1〜10、に分けられる 友人Aと友人Nは知り合いだが、友人3や友人8とは知り合いではなく、メルアドも知らない
彼らを繋ぐものは友達に俺がいることぐらいだろう
では何故こんなことをするのか。それは俺の二つの秘密を隠すためだ
俺がこの関係を使うのは、例えば一日の講義が終わった時、休日知り合いと会った時、等だ
使うのはあくまで関係であり、それを成す友人逹ではない
大抵の場合はね |
| 4984.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/03/19 21:04
ホスト/EZweb
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| | 北校舎の四階、屋上に一番近い所が野鳥観察部の活動場所になっている 地味な部なので隅へ隅へと追いやられた結果今に至る
「うぃす」 「ん」 部室に入ると、一人しかいなかった 「あれ、二人は?」 「バイトと不明」
バイトの方は未沙瑚だろうな 「どうせ岳は鳥追っかけてんだろ」 「だな」
バイト情報誌を見ながら素っ気なく答えるコイツは千採彩(ちどり さい)といい、名前はこうだが男だ
…俺は彩が校内で一番仲の良い奴だと思っている。というのも、ここに籍を置く理由が俺と似ているからだ。こいつの場合、“大人数との付き合いが億劫”がそれ
観察部となっているが、正式な部員は4人しかいなく、同好会に格下げされるのも遠くないだろう
同級生なのに敬語を使い、唯一正統な理由で入っているにも関わらず、大抵一人で鳥を追いかけている岳(がく)と、バイトをいくつも掛け持ちしている未だによくわからない未沙瑚(みさご)
あとは時々顔を出す名前も朧な幽霊部員が数人
「…なぁ成」
彩がページをめくりながら話しかけてくる
「たまにはクラスの奴と遊びに行けよ」 |
| 4989.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/04/10 00:52
ホスト/EZweb
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| | ………
瞬時に大体のことを察した 「…またココ来たのか」 「外に観察に行ってる、って言ったら出てったよ」
時々だが、どうしても暇を持て余してる奴等が俺を探しにわざわざココまで来る時がある。そして部室の番人と化している彩が毎回折り合いをつけている
このようなコイツの発言には、“友達を大事にしろ”というより“メンドイ会話をさせるな”というニュアンスの方が強いと俺は思っている
…確かに 少し迷惑かけてるかな
「じゃあちょっと出かけてくる」 俺は部室に鞄を置いたまま教室に向かう
“友達”と遊びに行くわけではない。ああいう奴等は一度こちらから誘うとかなり粘着質だから(……仮にも友達なのに我ながらなんという口の利き様だろう)
10円玉を軽く積んで、もはや一分にも迷わずに公衆電話のボタンを押す
・ ・ ・
「うん。じゃあ明日」 電話を切る 相手はかなり嬉しそうだった。しかし俺の心情のベクトルは全くの正反対 出来ればこの手は打ちたくないのだ。けど、これが俺の生き方だから...
俺はここ(部室)まで侵入してきた奴等への対抗策その2(実質トドメ)に出ることにした |
| 4990.sing-sorrow- |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/04/10 23:55
ホスト/EZweb
|
| | ―sorrow―
雨で鳴き声は届かない 己を鳥とするならば、そもそも俺は鳴き方なんて知らない小鳥
耳に残るアイツの泣き声 次第に雨音すら感じなくなる
全ての不幸が憎かった
安らげる場所は 穏やかな団欒は そして尊い繋がりは どうして俺の手から滑り落ちているのか
果てに、ヒトであることを悔やんだ
鳥ならば、大切なものがわかるのか、失う前に気付くのか
瞳を閉じて浮かぶ思い出は、紛れもなく俺が欲しかったもの
利用するためだけの関係に、気が付けば無情でいることが出来なかった そして生まれた感情は、情けを越えたものであると、結局最後まで気付けなかった
思えば、彩のような真に友達と呼べる関係が出来たのも、彼女と出会ってからではないだろうか。そして友情と同等の…もしくはそれ以上の感情すら生まれたのは
それは俺が最低限ヒトである、成長するという証明か
それとも、彼女がまるで親鳥の...
気付かぬ内に持っていた形無い家に、戻って来る者はもういない |
| 4991.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/04/11 00:01
ホスト/EZweb
|
| | 後日、俺は(能動的にきっかけを作り出し、)例の暇な友人逹に誘われ放課後街へ繰り出した
ちなみにこういう中での俺のポジションは相槌役だ
「へぇ」とか「それわかる」とかそんなことばっか言っている。これで「アイツも誘ってみる?」程度の存在を作り上げている
「ゴメン、ちょっと俺帰る」 夕方、そう言って席を立つ俺 ココは街の中のステラバックスという有名なカフェチェーン店 窓際に腰掛けた友人逹は「連れない」、と言った感じで見送る。
自分の会計だけ済ませて店を出る。当然友人逹は窓越しに店外に出た俺を目で追う。そのためのステバだ
そして俺の隠れ蓑の最終型が発動する
『成』 店を出ておよそ9秒後、横から声をかけられる
「おぉ、偶然。」 かけてきたのは髪を肩辺りで切った女子 名前は七月 乙女(なつき おとめ)
『今日は良かったの?』 「見てたのか、いいんだよ。そろそろ知られてもいいかな、って」
そのまま俺逹は並んで街中へ消えていく “ステバ”からバッチリ目撃されたはずだ
―――別の学校の彼女、これが俺の切り札 |
| 4992.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/04/15 18:30
ホスト/EZweb
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| | 『…本当に良かったの?』 夕方、駅での別れ際、乙女が振り返って聞いてきた
「もちろん。もう恥ずかしがる年じゃないだろ?」
…… …なら、何故今まで隠してきたの?という表情。心配と猜疑の割合は6:4くらいか
気付くと彼女はもういなかった ・ ・ ・ 噂はあっという間に広がった。これで余程の奴でない限り今後遊びの誘いはしてこないだろう。…少しはあるかもしれないけど
ただ、この関係はかなり不安定だ。俺逹はお互いの学校も知らないし、住所も知らない 会うのは朝〜夕方まで、そして会う場所は毎回こちらから指定
…決めたのはもちろん俺だ。不条理で、聞く人が聞けば殴られるかもしれない
この通り、彼女にすら俺の素性は秘密なのだ
乙女と出会った時には色々あったが、これは省略する
今が6月で、付き合いだしたのが一年前の春だから、一応一年は経ったことになる
喧嘩もなく、俺のお願いを返事一つで了承してくれる彼女には頭が下がる
しかし俺には例の秘密以外にもう一つ彼女に言えていないことがある これはある意味彼女にとって、一番聞きたくないことだと思う
それは、俺が乙女を_しているかどうかということだ
答えは俺にもわからない
だって、俺はそういうものをよく知らないから |
| 4994.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/04/28 08:17
ホスト/EZweb
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| | 帰り道 形容し難い不安を抱えたまま新しい家に帰る気にはなれず、街中から少し離れた池のある公園へ足を運んだ 世界が夕方から夜へと変わろうとしている 時間的にもそうだが、日中でもここは子供は来ないだろう。せいぜいのんびり老後を過ごす老人が野鳥観察で来るくらいで………
しかし公園にいた先客は老人ではなく、子供と呼ぶにもいささか不釣り合いな少年だった っていうか、コイツには少年という言葉すら似合わない
「彩」 俺から声をかけた
「成?今帰りか?」
学校以外で知り合いに合った場合、危険度別に三つのレベルに分けられる
だけど彩の場合は特別で、どこで会おうが危険度は最低のレベル1
「随分日が長くなったよな」
…以前、一番の親友は彩と言ったが、実際、本当に親友と呼べるのは彩だけだ
同類相哀れむとでもいうのか…過程はどうあれ俺も彩と同じで、人と一線を引いているのだ。それが心によってか環境によってかの違いだ
俺は表面的な関係に生きる中で、そういった感情を学ばなかった そして初めは環境から引いていた線が、現在では心にまで浸透している
友人に囲まれながら孤独 彼女と手を繋ぎながら、その手の暖かさに言い様もない不安を覚える... |
| 4997.RE:sing |
投稿者/亜希 投稿日/2008/05/08 23:09
ホスト/i-mode
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| | (*´艸`)おかえり
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| 4998.RE:sing |
投稿者/弧 投稿日/2008/05/09 00:15
ホスト/EZweb
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| | ……誰とも馴染めず
逃げ帰って来ただけさ... |
| 4999.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/05/10 17:31
ホスト/EZweb
|
| | 後日、噂は予想通り広まった 男女で食いついてくるとこが違うことがわかった
まぁこれで、理由作りは万全だ。乙女と会う回数は増えることになるが………
・ ・ ・
放課後、部室 「成の彼女さん、見てみたいっす」 クラスメートならまだしも、岳までこんなことを言ってきた もちろん対応は考えてある
「アイツさ、鳥とか大ッキライなんだ。見つけるとホウキとかでブッ叩いてるとか」 途端に岳は憤慨した 「う…成の連れっていうからいい人だと思ってたのに、それは絶対会いたくないなぁ」 「それがいい。下手したらお前もやられる」 彩がコンビニで貰ったフリーペーパーを読みながら難しい顔をしていた
少しして、階段を勢い良く駆け上がって来る音が聞こえてきた 「そういえば最近来なかったなアイツ」 「派遣に登録するとかって言ってたっすよ」
ドアが勢い良く開かれ、鞄も開いたままの長髪の女子が入って来た 『六月!』 入って来るなり俺を呼ぶ。それに生返事する 『彼女出来たって!?』 |
| 5002.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/06/01 20:10
ホスト/EZweb
|
| | 「あぁ、出会ったのは去年で学校は知らないし、髪はショートより微妙に長め」 メンドイから聞かれる前に言う
『それはいいから、名前は?名前』 …名前?
「…七月乙女だ。苗字似てるのは偶然」 何故か安堵する未沙瑚(みさご)
『そ、オッケー。じゃバイトなんで』 と言って彼女は階段を降りていった
「相変わらず謎な人っすね」 ホント、ここに籍を置いてる意味がわからない 「なんでアイツここに入ってんだろうな」 二人に振ってみる
「いやぁ、俺には二人が入ってる方が謎っすけど…楽しいから気にしてませんが」
また少しして、岳が部活動をするため外出した
……今日一日散々聞かれたことだが、俺と乙女の姓には妙な関係性がある。偶然以外の何ものでもない、はず 関連して未沙瑚の言動にも疑問が残る
今日で放課後及び休日のアリバイ作りは盤石となったが、何となくこの二つの事項が気になった |
| 5004.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/06/01 21:23
ホスト/EZweb
|
| | 『もっと早くにこうしてれば良かったなぁ』
ウィンドウショッピングを終え、途中で買ったたいやきを頬張りながら乙女が呟く
乙女と会うペースは週一に増えた 「彼女いる、なんて堂々と言えないよ俺は。恥ずかしい」 『じゃあ偶然友達に見られたから開き直りました、みたいな感じなの??』
……偶然か、 「そう。正直あの時はかなり無理してたんだよ」 良心が痛む 今までは誰にも内緒の付き合いだった。最終手段と考えつつも、罪悪感などほとんど感じない関係だった それが今は……
しばらくして、今日遊んだ証拠の写メを取って解散した 帰りの電車が以前と真逆になっていても、そこには一言も触れてくれないのはいつものこと
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
数ヵ月が過ぎ、唐突に状況は一変する この間、サイともガクともミサゴとも色々あった。それは後に語る 乙女とは相変わらずの付き合いだった
俺は上に挙げた四人と共に非日常へと投げ込まれる そこにどんな真実があるのかはまだわからない。だが俺の生活はようやく転機を迎えそうだ
とはいえ、いつもの学校生活はいつものように続く。部活も交遊関係も以前のままだ 些細な変化は一部の人間にのみ訪れた |
| 5005.RE:sing |
投稿者/vermeil 投稿日/2008/06/01 21:43
ホスト/EZweb
|
| | ある日、我が家の郵便ポストに一通の封筒が入っていた そこにはこの国でこれから起きることが書かれていた。その内容に俺は絶句する
手紙の最後に、これからは定期的にこちらから行動を指示する。と書いてあった
その数日後、変化因子その2に遭遇する それは白装束の少年だった
・ ・ ・
かくして俺は、二つの勢力のバックを得た 社会的には“同盟”と“NotName”と呼ばれている
新たにもらった鳴留(ナル)という名前
そしてこれから始まる“同盟”と“同名”の戦い
それらが俺には、自らの帰るべき巣に思えた
※注、 小説板の2ページ目にあるNotNameを見てない方は一度目を通してもらうと助かります |
| 5006.RE:sing |
投稿者/ウェットティッシュ 投稿日/2008/06/02 05:11
ホスト/EZweb
|
| | もしかして 銀色かい!? |
| 5007.RE:sing |
投稿者/銀色 投稿日/2008/06/02 22:05
ホスト/EZweb
|
| | はい……負け帰って来た銀色っす。。。正直あまり気にしないことにしたのですが……
この板で自分の失敗談を書いても雰囲気重くなるだけなのでそこらへんノータッチでお願いします(笑
おぉ「(笑)」をつけると何やら重さ軽減かも 現在埼玉の大学の一年生です(笑
いつかまともにウェッティさんと話してみたいっす俺 |
| 5008.RE:sing |
投稿者/ウェットティッシュ 投稿日/2008/06/05 04:07
ホスト/EZweb
|
| | おかえり〜また銀色の小説が読めるのがうれしいよ(^-^) 失敗は成功の母だかなんだかって言うし諦めない事が肝心さ〜 夢見る君を応援してます(笑) とりあえず お疲れ様 |
| 5009.Sing-NotName |
投稿者/銀色 投稿日/2008/06/10 18:14
ホスト/EZweb
|
| | ・ ・ ・
…経済学が単位取りやすいなんて言った奴は誰だったか
現在三つのレポート、二つの追試という課題を今週末までに予定している 七月はこれらに四苦八苦“しなかった”ため単位を気前良く落としてしまった。友人逹はレポートやってないだの試験ヤバいだの言ってた割には、最低合格ラインの評価Cをもらっていた。一応有名大学だから皆常識力はあるということか
『何それ?ハイジ??』 ラウンジで一人心理学のレポートを書いていると、後ろからやや声高の女子に声をかけられる
「あぁ、心理学のレポートのテーマにな」 振り返らずに返事をする 『ハイジが??』 「ほら、20世紀のスイス人の国民性」 昨夜印刷した資料を見せる 未沙瑚はそれとレポートを交互に見る 『書き写しただけじゃん』 「…見逃してくれない?」 けっ、と呆れられる。お前女? 『……まいっか、どうせ意味無いし』 資料諸々を返される。ていうか 「意味ない、って??」
『掲示板見ろって。ほとんど休講、しかも再開日未定』
…びっくりした 『それはこっち。…ホントにナルは良くここ受かったな』
掲示板にはびっしり休講の案内が張り出されていた。理由はどれも“政治的都合により”だった
《ドウメイ戦争》。またの名を全国民参加型サバゲー政策 ただウチの県は穏健派が多いらしく、動きはほとんど無いらしい
「それでも休講か」 『だから絵斗はバイト増やしたらしいよ。今から忙しくなる仕事始めたとか』 絵斗(えと)というのは俺逹の共通の友達で、未沙瑚と同じ所でバイトしてるらしい。コイツ同様口調の軽い男だ |
| 5011.RE:sing |
投稿者/銀色 投稿日/2008/06/15 02:12
ホスト/EZweb
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| |
「じゃあ土曜の放課後は観察ってことで」
放課後、いつもの部室 数名いた幽霊部員は完全に消えたが、戦争のいざこざで未だに部活は健在
『この前見たやつ綺麗だったよね、あれまたいないかな?ー?』
しかも岳以外のメンバーまで熱心に部活動(=野鳥の観察)している
「じゃあ今日は解散でいいかガク?」 「うぃす。ナルは最近帰るの早いっすね。彼女さんは??」 「相変わらずだよ。喧嘩もなし、じゃあな」
そう言って部室を出ようとすると、 「ナル」 窓際で外を眺めていた彩に呼び止められる 「帰りは気をつけろ。今日はカラスが多い」
「……わかった」 声を落として返事をする 他の二人は意味不、といった顔をしている
ウチの県は比較的保守派なのだが、それでも同盟は多々できている その中で最大勢力と呼ばれているのが通称“千鳥”。言うまでもなく、彩の家系が中心の同盟だ この地域には昔から苗字か名前に鳥に関する名をつける、という習慣があった 千鳥はこうして名前によって地元民かを見極め、どんどん同盟を増やしていった
内部では階級性がしかれており、俺のような一般(でもないが)家系は成と一字で書くことが許されておらず、わざわざ鳴留と当てている 一字の名前は名家専用なのだ |
| 5012.sing-NotName |
投稿者/銀色 投稿日/2008/06/22 18:49
ホスト/EZweb
|
| | □成■
戦争の発表があった後、俺は千鳥の家に向かわされた その数日前に家のポストに住所と日時が記された封筒が入っていた。やはり政府の関係者が指示しているのだろうか
城と見紛う豪邸が見えた時は流石に気を引き締めたが、その大きな門の前で竹ぼうきを掃いている親友を見てすぐに白けた
「……成??」
「………」 表札を見る。“千鳥”と書いてある
「お前ん家デカいな」
彩が家の者に俺の来客を告げると、中から数人の使用人が現れ、客間へと案内された
―――結局、俺と彩によく説明もせず、同盟加盟の手続きは終わった。彩の父親は厳格を極めていた
・ ・ ・
そして夜
□鳴留■
この名を名乗る時、俺は心を入れ替えることにしている ストレートに言って、人と刃を交えるという時に同情や憐憫といったものは邪魔でしかない
一週間毎に住家を変える俺は偵察に丁度良いらしい そんなわけで毎週決まった時間に夜の街をぶらつく。これが俺のこの戦争での役割……なんとも味気ない っていうか笑える。何が刃を交える、だ
こうして俺は、その日も夜間パトロールのつもりで白装束の少年に声を掛けた |
| 5014.sing-NotName. |
投稿者/銀色 投稿日/2008/07/01 18:13
ホスト/EZweb
|
| | 「おい」
「……」
白いガキは反応すらしない 神社の境内の石段に腰を下ろし、虚ろな面持ちで下を向いていた
その後も何度か声を掛けるが変化なし
「あー…」
…こういう時に何て話しかければいいかは知っている。けど何故か言いづらい
とりあえずその言葉は置いといて、俺は街の自警団よろしく説得を続ける。まぁこれが仕事なんだからしょうがない
「……うるさいんですけど」 お前中学はどこだ、とか聞いた辺りでやっと返事をした。それは蚊の鳴くような小さな小さなものだった
「…お前、このままだと、」 俺はチャンスを逃すまいと、今まで飲み込んでいた言葉を投げかける
「……家の人が心配するだろ」
……
「ふっ」
白ガキは生意気にも鼻で笑う 「あなたが何をさっきから言おうとしてたのか気になってましたが、そんなことですか」 嘲笑の態度こそ取りつつも、俺にはコイツが強がっているように思えた
「なんだ?気になってたって」 「今の時間は僕はなんでもできるんですよ、だから心だって読めるんです。」
…あぁ、こういう奴か。世も末だよな、こんな年でここまで荒むことないだろうに…。第一わかんなかったんだから心読めてないだろ
「勝手に決め付けないで下さいよ。 |
| 5015.RE:sing |
投稿者/銀色心 投稿日/2008/07/10 08:23
ホスト/EZweb
|
| | 課題と試験が容赦ないため、一週間ほど止めます っていうか最近は週間隔になってしまってすいません。意 外 に 大学って忙しいっすゎ |
| 5018.sing-NotName. |
投稿者/銀色 投稿日/2009/05/19 15:52
ホスト/EZweb
|
| | 白ガキはそう言って不満気な顔を見せる
何だよコイツ、
「常に心なんか読めてたら…そう、死にますよ」 「つまり、さっきは心を読もうとしていなかった、って?」 その通りと言わんばかりに深く頷く
…… 「…あなたは、素直な人ですね」
「ん?悪い、顔に出てたか」 「えぇ、それに心と言動にブレがありません、あなたは」
いつの間にか立場が逆転したようだった
「…俺は…そんなんじゃない」 もう話しかけるな 「いいえ、話しかけますよ」
白ガキは、心まで見透かさんとばかりに俺を見つめている
「……へぇ、特殊な家庭環境ですね。何重生活ですか」 「!?」
っ、何だって
ここまで来て俺は、本格的にこの子どもに話しかけたことを後悔し始めた
「イイですね、あなたの在り方は非凡だ。 …もしかしたら、僕の過ちを正せるかもしれない」
「やめろ黙れ!!もう話しかけるな!」 ようやく分かった。コイツは普通じゃない 心も読めるし、何か不思議な力もある
コイツは俺とは別の世界の人間だ。だから関わるな関わるな関わるな
このままきびすを返せば良いものを、何故か俺の足は動こうとしなかった
|
| 5019.sing-NotName. |
投稿者/銀色 投稿日/2009/05/26 20:36
ホスト/EZweb
|
| | 俺は携帯を取り出した
「どうするんですか?」 「…警察に連絡すんだよ。家出非行少年を保護してください、ってな」 呼び鈴が鳴る
「「無駄ですよ」」
携帯からも白ガキの声が聞こえてきた 「……」 「言ったでしょ、今は何でもできる。この力は人では得られない力、N2すら遥かに凌駕しています。大体僕を非行呼ばわりしてますけど、偽りだらけのアナタはまともなんですかね?」
超人ぶりを嫌というほど見せつけられ、返す言葉も出てこなくなった
「教えてあげます。アナタは普通じゃない、しかしそれは下等であることを意味しているワケではありません」
年下の説教を黙って聞く様は滑稽だろうな 「僕と“ある契約”をすれば、かつてのアナタの家が得意とした力を目覚めさせることができる」
「…俺の、家だって?」 物心ついて以来、あってないようなモノだぞ
「水無月の家柄は“秘匿”が掟と聞いた気がします。隣に位置する文月家とは“隠す”概念において一線を画していた、と」 …??
「これだけ理解してくれれば良いです。 私と契約すれば、アナタとアナタの家の真実が分かる」
最後の一言が頭の中を駆け巡る
――ずっと気になっていたけど、今では考えることすら無駄だと思うほどに、遠くに行ってしまっていたウチの秘密
それがコイツと“契約”すれば…
「…何をすればいい」
「簡単です。名前を下さい」
白ガキは無垢な笑顔でそう答えた
|
| 5020.sing-NotName. |
投稿者/銀色 投稿日/2009/06/02 11:33
ホスト/EZweb
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| | 「は?名前を?」 白ガキは片手を差し出している 「はい。自分の名前を声に出してくれればいいです。簡単でしょ?」
……一応、方法を聞いてみたわけだが、さてどうするか 理解を超えた力を持っているのは確かだが、見た目といい振る舞いといい、今一つ信用に欠ける 「チャンスは今しかないですよ」 ほらまた胡散臭いことを… 「…うーん」 どうしたものか。
俺は家の秘密を知ってどうしたいのか。その先の過程を、全て上手くいったと仮定して進めていく
………… ……… ……
出た答えには、自分自身も驚いた
「……なぁ、」 「できますよ」 聞くまでもない、という表情。どうやら全て“聞こえていた”らしい
「基本的には、この契約を結ぶとあなたの理想の真逆へと向かうのですが、あなたは特別なのでそうはなりません。裏の裏は表ということです」 「俺がどう特別なんだ?」 白ガキが指で二を示す
「二つあります。一つは先ほど言ったあなたの家庭事情。もう一つは、名前を失っても失わないことです」 ……?? 哲学的なことか?
ここで、あなたは大丈夫ですよ、と言われたからといって、こいつを信用する理由にはならない
彩なら、下らんと言って反古にする 乙女は騙されやすそうだから悩みそうだな
……、誰にも迷惑かけないし、ここは騙されたと思って乗ってみるかな
仲間のことを考えたら、妙に明るくなっている自分がいた
|
| 5021.sing-NotName. |
投稿者/銀色 投稿日/2009/06/23 11:42
ホスト/EZweb
|
| | 「…僕が言えたことではないですが、あなたはもっと素直になった方が良い」 「余計なお世話だ」 コイツの力、あまり気分のいい物ではないな
「うし、覚悟決めた。契約しようじゃないか」 けどお前みたいな能力は嫌だぜ、っと 「分かりました」
: : :
こうして、六月 成という名前は消えた。未だ生活に影響はないが、次第に周りが六月 成を忘れ始めるという
「でもあなたは忘れられない。鳴留という名前をまだ持っているから」
…よく分からない話だ。つまりアイツが言っていたN2とかいう集団は、いずれ存在を失うか、あるいは既に失っている奴らの集まりということになる 彼らはそれを知っているのだろうか
能力者の証として偽りの名前をもらった。それが「sinG」だった しかし何の音沙汰もない。空を飛べたり、透明になれたりというのを期待していたので、結構拍子抜けさせられたのは事実
そんなわけだがとにかく、俺は次第に鳴留としか呼ばれなくなる。元の名前、特に苗字、には未練なんかない…
――明日は久しぶりに学校か
|
| 5022.sing-NotName. |
投稿者/銀色 投稿日/2009/07/20 18:29
ホスト/EZweb
|
| | そうして始まった学校は、しかし休講ばっかりでほとんど休校状態であった
だからといって遊びに行けるような状況ではない。別に危険とかそういうことではなく、市が“無意味な外出を禁止”してしまっているからだ。今や外出及び屋外での活動にはそれなりの理由が必要となっている。俺たちの場合、登校や部活動の屋外活動などの学校行事が大半の理由となる
その場合、外出の際には必ず学校発行の外出許可証の携帯が義務づけられている
ついでに言えば学校側も、一応体裁を守るために授業は無くともしっかりテストは行うようだ。おかげでちっとも理解できないレジュメを頼りに必至に自宅学習に励む学生が大量に発生している
岳「でもこうしてみんなで部活動できるのは、戦争のおかげなんすよね」 鳴「……そうだな」 場所は屋外。学校から少し離れた雑木林
俺たち野鳥観察部は、平日の真っ昼間から軽めの装備で草木の中を踏み入っていた
真夏だから日差しは凶悪化。アブラゼミの合唱に草いきれの匂いが充満し、正に五感で季節を感じ取っている
彩「二人とも、未沙瑚がいないぞ」 鳴「ホントだ」 彩もずいぶんと両腕を蚊にやられたようだ。あー痒い痒い 岳「俺戻って呼んでくるっす」 彩「いや、成が行けよ」 鳴「なんで俺」 恨むぞ 岳「いいすよ。ちょっと行ってきます」 そう言って元来た道を戻っていく岳。まぁ道なんてないようなものだけど
……蒸し暑さ極上の林中に取り残された俺と彩
鳴「…やけに張り切ってるな、アイツ」 彩「唯一純粋に部活動しているからな」
先に言ったように、俺と彩にとって部活動は外出する口実作りでしかない
状況が変わっても、俺たちにとって部活動は隠れ蓑でしかないのだ
未沙瑚は知らない
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投稿者/銀色 投稿日/2009/09/09 03:03
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| | ――結局、いたずらに自然を満喫してしまっただけで、その日の活動はお開きとなった。未沙瑚はその“自然を満喫”することを嫌い、一人路上で油を売っていたようだ
「何故、皆さんが観察ポイント到達までの道のりを断念したのか理解できないっす」 『何故そんな軽装備で森に入ろうなんて思うのか理解できないよ…』 岳の疑問は疑問にあらず。道あっての道のりというものだろう おおかた観察ポイントなんてのも途中と何ら変わり映えのない景色してんだろうぜ 男三人は心ゆくまで擦り傷と虫さされ(自然)を満喫した
「俺は成がどんどん先に進んで行くからな」 その俺は岳に付いて行っただけなんだよ
『成が悪い、考えなしに岳に付いていこうとするから(笑』 「ほう、まるで付いていかなかった自分が偉いみたいな物言いだな未沙瑚?」 『ふ、どうよこの腕』 そう言って未沙瑚は自身の右腕を俺の目の前にかざす 『虫さされは愚か日焼けすらしていないの。タオルすら持ち合わせていない成と比べたらダブルスコアであたしの勝ちではないかな?』 勝ちってなんだ勝ちって 「確かにお前は用意ができてなさすぎるぞ。いくら俺らの前だからって」 「ぬ、彩、お前は敵か」 「成が悪いですよ。クラスのみんなの前ではあんなにしっかりしてるのに」 …みんなして言論袋叩きですか まぁバックすらめんどくさがった俺に非がないとも言い難いが
『ここがポイント制なら成は五点減点』 はは、ポイント制だってー 「とりあえず部室戻るっすかね」 部長の一声で俺たちは帰路につくことにした
散々言葉責めをくらったとはいえ、俺はこの部とメンバーに満足し始めていた 以前述べたように、彼らと休み中に色々あったため、俺の家の秘密はある程度彼らにバレている。それのお陰でここは、無理に気兼ねする必要のない場所となってしいるのだ
まぁ隠れ蓑が第一前提なのは変わりはないが |
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投稿者/銀色 投稿日/2009/10/06 12:39
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――深夜・とある県・とある市街地
かつては町のメインストリートとして栄えたこの通りも、今ではどこも門戸を閉ざしてひっそりとしている
そこに暮らす住人たちにとって、およそ“戦争”と名のつくものは自分たちとは無縁であると思っていた
「木谷さんとこの方だ!急げ!」 彼らにとっては、シャッターの閉まった商店街を見ることすらいたたまれないものがあった しかし今よりはマシだ。今は、その商店街自体が“消えようと”している
「くっそひでぇ。奴ら大砲でも持ってやがるのか?!」
木谷という老人が開いていた古本屋は、それこそ対戦車用ミサイルでも打ち込まれたかのように木っ端微塵に吹き飛んでいた。彼が既に県外へ避難していたことが唯一救いであった
「おい!見つけたぞ!」 遠くの方で声がした かつてはあんな遠方から叫んでも、建物や店の営業音などで遮られてしまっていたが、今はその音も障害物すらもほとんど見当たらない。既に大半の家屋が撃破されてしまっているのだ
「何が戦争だ!ちくしょう!」 襲撃の理由は間違いなく、政府公認のドウメイ戦争だ 町の中心であったここは、不幸にも県の中心、つまり県庁所在地でもあり、この県の一大勢力となっていた
とはいえ、町に住む住人の大半は基本監視と索敵がメインで、こんな第一線に遭遇することはなかった
そう、前々から気になっていた。市民はほとんど前線に加わらず、半分程は安全な地域に避難してしまったというのに、この町では争いの傷跡が絶えない
市民は参加していないというのに、一体誰が戦っているというのだ――― |
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投稿者/銀色 投稿日/2009/10/06 21:33
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| | 声のする方では喧騒が起きていた。町内派と襲撃犯たちが乱闘を起こしているのだと彼らは思った
「どこの奴らだ。まさか氏家か」 氏家とは、県内で彼らとしのぎを削りあっている巨大勢力だ。最近では海外から武器を密輸しているという噂もあり、素行の悪さが問題視されていた
「町をこんなにして、政府は奴らに何のお咎めもなしなんて言ったら、俺は裁判で国を相手どるぜ」
町に住む彼らも、一応は政府の政策ということで政府から配られた要項に一通り目を通していた それによると、戦争によって破壊あるいは損壊した建物、道路などは全て国の予算で修復するとのことだ
マスコミの調べでは、どうやらあらかじめ中国の巨大建設業者と契約し、戦後の全国復旧のために大量の人員と物資の導入が決定しているらしい まさに税金の無駄使いの極限であろう
人だかりに近づくにつれ、罵詈雑言が激しくなってきた
「さぁ、ツラ拝ませてもらおうか!」 ついに、喧騒の中に踏み入った
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投稿者/銀色 投稿日/2009/10/06 21:34
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―――1日前・隣の県
電話が鳴る。画面を見ると“七月乙女”と表示されていた
『おはよう成、今大丈夫?』 「あぁ、今は大丈夫だよ」 午後からちょっと忙しくなるんだけどな 『学校はどう?』 「変わんない。テスト期間までダラダラしてる」 『うん、それがいいよね』
そんな感じで、いつもの他愛もない会話が続く
『じゃあ明日遊び行こうよ。暇過ぎるのも退屈でしょ?』
「あー…悪い。明日はちょっと、用事があるんだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
現場に着いたとき、彼らは息を呑んだ
……一人? しかも若い
瓦礫と化した家屋の上に、パーカーを着込んだ人間が立っていた。顔はフードで隠れていて分からないが、立ち居振る舞いからして少年に見える
「…あの子だけなのか」 少年以外は見当たらない。あとは挑発や野次を飛ばす商店街の住民だけのようだ
一体、どうやって―――
「…うるさいなぁ」 少年が口を開いた 「あんた達がさっさと折れてくれないから俺が出ばって来たんだ。ドウメイ戦争もそろそろ第二段階、いつまでも県内で争ってる場合じゃないんだよ」 「やはり氏家の奴か!何を言ってやがる!」 少年は不適に笑う 「氏家なんて知らないね。それに庶民のあんたらははなっからただの駒なんだ。駒は黙って言うこと聞いていればいい」 「なんだと!!」 一気に喧騒のボルテージが上昇した 「ガキが!調子乗ってんじゃねえ!」 「子どものお前こそ家に引っ込んでろ!」 至る所で誹謗中傷の嵐
皆、彼がどうやって街を破壊していたのかなどお構いなしだった。あるいは、事前に小細工を施していたとたかをくくっていたのかもしれない
――だから、背後の銀行が一瞬で爆ぜたときは、誰もが言葉を失った
彼が何かを呟いた瞬間、ファンタジーの世界でしか起こりえないような光と爆発
全員を黙らせるのには十分過ぎる一手だった
「さあ、言うことを聞いてください」 囁くように言葉を紡いだ
「…お前、化け物だな…」
少年は
「いいや、俺はただの」
「落ちこぼれの嗚留ですよ」
自嘲気味にそう答えた
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